IHクッキングヒーターは、磁力線の働きにより鍋底自体を加熱する仕組みになっており、火が出ないために安全性も高いと考えられます。さらに、安定した加熱管理制御が容易に行えるため、素材を均一に加熱する料理やスープなどの液体の加熱に適しています。
調理後にはプレートを拭くだけで手入れが可能なので、掃除が楽な点が利用者に喜ばれています。 このような特徴のため、IHクッキングヒーターの使用に際してはいくつかの制限もあります。
まず、磁力線が鍋底を直接加熱するため、使用できる鍋やフライパンの素材は鉄やステンレス製などIH対応素材でなければならず、大きさも電磁調理器のサイズに合う12~26センチ程度、形状も底が平らである必要があります。
つまり、中華鍋のような形状のものは使用ができません。
また、素材を均一に加熱できる反面、表面だけを焼く、炙るということができないので、焦げ目をつける料理や直火を使用する料理には不向きと言えます。また、炒め物などの強い火力で一気に仕上げるような高温調理も不得手とされています。
火を使わないので安全という特徴がありますが、調理後は天板が熱くなりますので、そのまま触ってしまうと火傷の危険があります。加えて、火傷するほど熱いのかどうか見た目からは分からないという短所もあります。
ガスコンロは文字通り、ガスで火を起こす(着火する)ことで加熱します。
調理においてガスは煮炊きから強火が適した炒め物などの料理、素材の部分的加熱まで、臨機応変に使えます。火を使わなくていいという安全面(火の消し忘れを防げるなど)から高齢者にはIHの方が安心と言われる一方で、慣れたガスコンロの方が使いやすいという意見もあるようです。
また、ガスコンロの場合、グリルと3つのバーナーがすべて同時に使えるので、一度にたくさん料理をする必要がある場合は便利です。
IHクッキングヒーターは、グリルと3つのバーナーを最大火力で同時に使うことができません。 火を使用しているため、火災の原因になる可能性はあり、稀とはいえガス漏れ事故のリスクもあります。調理することで室温が上昇するため、特に夏場には不向きな場合もあります。
そのほか調理台がIHクッキングヒーターのように完全に平らでないため、IHクッキングヒーターに比べて手入れが面倒という見方もあります。ただし、最近はフラット型のガスコンロも増えています。
IHクッキングヒーターに比べて、ガスコンロは「危険性」という特徴が強調されますが、子供の教育のため、「火」の出るガスコンロをあえて選ぶというケースも多いようです。
<メリット>
IH クッキングヒーター
・フラット構造なので掃除がし易い。
・部屋が暑くなりにくいので夏場も快適に料理が出来る。
・火を使わないので消し忘れによる事故がなく安全。
ガスコンロ
・今まで通り「火」を使って料理が出来る。
・停電の影響を受けない。
・鍋、フライパンの種類を選ばない。
・鍋全体を温めるので、炒め物に向いている。「炙り」が出来る。
・グリルとバーナー3つ同時に使える。
<デメリット>
IH クッキングヒーター
・鍋やフライパンはIH対応のものしか選べなくなる(中華鍋、土鍋は使えない。)
・火は出ないが、ヒーターの上に手を置いてしまい火傷をする可能性がある。
・表面だけを焼く、炙るということができないので、焦げ目をつける料理、直火を必要とする料理には不向き。
・グリルとバーナー3つ同時に最大火力で使えない。
・停電が起こったら使用できない。
ガスコンロ
・火を使うため、ガスの消し忘れ等による火事の可能性がある。
・IHクッキングヒーターに比べると掃除がしにくい。
・キッチンまわりが熱くなるので、夏場の調理は暑さが増す。
・ガスによる上昇気流が発生するので、汚れが部屋全体へ拡がってしまう。
一般的にはガスコンロの方が割安です。
IHクッキングヒーターにする場合は、オール電化になる可能性が高いでしょう。
家庭のエネルギーをすべて電気でまかなうことになりますから、電気料金がアンペア契約の場合はアンペア(A)を上げる必要があり、そうなると基本料金があがります。一方、ガスを解約しますので、ガスの基本料金はなくなります。
契約している電気料金メニューによっても1kWh(キロワットアワー)の電気料金は異なります。オール電化住宅用の電気料金メニューを契約している場合は、電気を使用する時間帯によって電気料金が異なります。
電気代の高い時間帯に調理することが多い場合は、IHクッキングヒーターで調理することで電気代があがることも考えられます。
ガスコンロは、供給地区のプロパンガスの価格にも左右されます。
一方、ガスコンロの場合も同様で、割高のプロパンガス供給地区であり、頻繁に調理をする場合などは、ガスコンロにかかるガス代は無視できないと言えます。
<<総評>>
一概にどちらがランニングコストがかかるのかは比較が難しいところです。
ランニングコストに関しては、どちらかの優位性がずば抜けて高いということはなく、
決定的な差はないといえます。
最終的には生活スタイル、家族の構成メンバーなど各世帯の事情によって決まってくると言えます。もちろん、得意料理やよくする料理にも大いに関係があります。
2者を選ぶポイントとして注意したい点があります。
IHクッキングヒーターとガスコンロのメリット・デメリットは、IHクッキングヒーターもしくはガスコンロメーカーなどによって当然、取捨選択されてカタログに記載されています。正しく判断するためにも公平な立場でコメントされているものを参考にしましょう。
もちろん、実際に使用している人に意見を聞いてみるのも大切です。
公平な意見を知るためにも、IH派とガスコンロ派の
両者からメリット・デメリットに関して意見を聞けるとベストです。
選択基準リスト
IHクッキングヒーターに適したご家族
・オール電化住宅にしたいと思っている。
・安全を最優先したい。
・キッチンの美観を重視している。
・住んでいる地域がプロパンガス供給地区である。
・調理時間のプログラミングなど便利な機能を使って調理がしたい。
ガスコンロに適したご家庭
・中華鍋を使った炒め物などを良くする。
・フライパンを煽って調理をしたい。
・使い慣れた機器で調理がしたい。
・電磁波の影響が心配。
・直火がどうしても必要。
IHとガスを両立させることで調理に合わせて 熱源を選べる「Dual Chef(デュアルシェフ)」